名刺代わりの 10 冊メイカー

タタール人の砂漠

ディーノ・ブッツァーティ, 脇功

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読んでいてとんでもなく心が辛くなる本。大学生の時に読んでめちゃくちゃ刺さったのだけど、歳を重ねれば重ねるほど重く刺してくる本だと思う。 だいぶネガティブな気持ちにさせてくるけど、それだけ感情を動かされるという点でとても心に残っている。

さよなら妖精

米澤穂信

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一番好きな青春ミステリ。米澤さんの本にはまったきっかけ。ミステリ要素もほどよく、登場人物たちの会話も軽妙で読みやすいのに結末がとても切ないし、重要人物であるマーヤの背景がとても重たい。 けっこう青春ミステリとかラノベテイストの小説って1回読んだら読み返さないことが多いのだけど、さよなら妖精は何回も読んだ。

テンペスト

ウィリアム・シェイクスピア, 藤田実

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邦訳なら小田島訳が一番好きだけど、卒論書く時に一番お世話になった原文+訳注・解説の大修館シェイクスピア版を。 エンタメを求める人はシェイクスピアをより面白いコンテンツはいくらでもあるのでそちらを勧めるけれど、1つの物語を深く研究したい人にとってはこれ以上ないくらい楽しい本だと思う。 音楽や魔術、精霊といった神秘思想、キャリバンに代表される植民地主義、島という舞台装置とアレゴリーとなる当時の劇場思想や劇場建築など、いろんな切り口で読むことができる、一生かけても読みきれないだろうなと思える戯曲です。

十角館の殺人 <新装改訂版>

綾辻 行人

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高校〜大学にかけてミステリにめちゃくちゃハマっていたのだけど、やっぱり一番驚いたミステリはこれかな、と。 今ネタバレなしでこの本を読むのは難しい気がするけれど、前知識がない人には余計なネタバレや前情報が入ってしまう前に読んでほしい本。 旧版を読んだことがないので比較できないけれど、少なくともこの新装改訂版は文章の配置もすごくいいです。

飛ぶ教室

エーリヒ・ケストナー, 丘沢静也

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たぶん自分が一番泣いた本は『飛ぶ教室』だと思う。悲しい事件が起こるとか切ない恋があるとか、そういう物語ではない。(そもそも児童文学だし。) とにかく結末が暖かくて、じんわりと優しい気持ちになれる。 物語の書き手による語りが最初(とたしか最後にも)にあるのだけれど、その文章が大好き。悲しみは他人と比べるものじゃないんだ。

スカイ・クロラ

森博嗣

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高校時代にシリーズ通して読みまくっていた。静かで冷たくて、リズミカルな文体が大好きだった。(敢えて悪く言えばかなり中二病が好きだろうという文章。読んでいた当時は中二病まっさかりだったんだから仕方ない。) 割とよく分からない話なんだけど文体のお陰で一気に読むことができて、シリーズ通して読むとなんとなく理解できた気になった、ような記憶がある。読んだのが相当前だからうろ覚えだけど、好きな文体とかは明確に影響を受けていると思う。

イヴは夜明けに微笑んで

細音啓

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中高生の時にめちゃくちゃハマっていたシリーズ。ファンタジー好きになったきっかけかも。(これを読む前からハリポタとかは読んでいたけど。) ざっくり言うと歌で召喚術を操る世界の学園ファンタジーなんだけど、とにかく登場人物も世界観も綺麗で嫌なものがないところが好きだった。あと竹岡先生のイラストがとにかく好き。 文章はラノベだなって感じの文章だったし結構前に刊行されたシリーズなので、今読んだら文章に乗れない瞬間もあるのかもしれない。

ドリアン・グレイの肖像

オスカー・ワイルド, 仁木めぐみ

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特に教訓を得た記憶はないけど、読んでいる時にとにかく面白くてぶっ通しで読んだ記憶がある。決して老いない(代わりに肖像画が老いていく)美青年の物語で、人間の内面、外面両方の美醜を描く作品。だったはず。 これを読んで「俺はオスカー・ワイルドの本が好きかもしれない」と思った記憶がある。光文社古典新訳文庫は読みやすいし手に取りやすいので大好きです。

夜のピクニック

恩田 陸

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小学生の時に読んだ、小説を好きになったきっかけの本。これぞ青春小説!って感じ。何か大きな事件が起きるわけではなく、高校生たちが互いに理解し合うお話。夜、ぽつぽつと静かに話す雰囲気とか、夜だからこそ普段は話さない打ち明け話をするところとか、小説全体の空気感が好きだった。 これを読んだ当時は高校生というものに大層憧れたものだけれど、残念ながら特別な高校生活を送ったりはしなかった。

李陵・山月記

中島 敦

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高校の教科書で読んだ時には何とも思わなかったのだけれど、大学に入ってから読んだらめちゃくちゃ面白くてびっくりしたのが山月記。 『タタール人の砂漠』とかもそうなんだけれど、自分の実情と理想との乖離とか、自分の可能性の狭まりや身の程を知っていく苦しさとかは、高校時代に読んでも響くようなものではない。 それこそ高校生の時なんか「臆病な自尊心と尊大な羞恥心」を持ちまくっている時期だと思うけど、高校卒業後、それを持っていた(あるいは持っている)ことを自覚してからの方がこの小説は面白い。面白いというか読んでいて苦しい。

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