フランス組曲[新装版]
イレーヌ・ネミロフスキー, 野崎 歓
コメント
アウシュヴィッツで亡くなった女性のトランクから発見された、その当時の出来事をもとにした恋愛小説。占領下であってでも物語を書くこと、しかもフランスとドイツの国家に挟まれた人間の恋愛模様を書くこと、生と人間への讃歌だと思った。
トリエステの坂道
須賀敦子
言わずもがな。須賀敦子の囁くようなやさしい文体が好き。言語と言語の間で生きた人のことばに慰められるように読む。恋しさとさびしさが溢れていて、涙が出てくる。
文庫 溺れるものと救われるもの
プリーモ・レーヴィ, 竹山博英
アガンベンとこちらで迷ったけど、こちら。
わたしを離さないで
カズオ・イシグロ, 土屋政雄
白だと思っていたことが、時間の経過とともに真っ黒になっていくのに全く気づかせない。イシグロの文学は、透き通る色水が真っ白な布をじわじわと染めていって、あとから振り返った時の色の変わりように読者を驚かせるようなもの。
終わりの感覚
ジュリアン・バーンズ, 土屋 政雄
バーンズは、忘れるという事象にさびしさと取り返しのつかなさを含ませるのが上手。
私にはいなかった祖父母の歴史
イヴァン・ジャブロンカ, 田所光男
歴史学の読み物が文学になり得るってことをもうずっと忘れていた。「ニオイヒバの生垣に守られて」育った子供たちへとつながった途端、泣いてしまった。
ムーミン全集[新版]8 ムーミン谷の十一月
トーベ・ヤンソン, 鈴木 徹郎
ムーミンたちがいないムーミン谷のお話。ムーミンの不在が、かれの存在をいっそう作り出していて、不思議な感じがした記憶。
根をもつこと
シモーヌ・ヴェーユ, 山崎 庸一郎
まゆ帆先生に読みなさいと言われて、読んで、救われた。離れてしまった土地をなんども振り返って、頑張ろうって思える。ヴェイユがそばにいる。
アラブ、祈りとしての文学
岡真理
出来事のあとからやってくる小説は、今起こっていることに直接救いを差し出すわけではないが、その存在は決して非力じゃない、無力じゃないと言ってくれる本って、心の支えになる。
火曜日の手紙
エレーヌ・グレミヨン, 池畑奈央子
手紙を出した人をみつけたときの「手放さなかった」ということばで表現される一文は、震えるくらいの衝撃だった。20くらいのときに読んで叫んだ。
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